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たとえ薄日であっても空が輝き、風のある日。そんな天気の日には、カメラを持って何処か水のある所へ出かけたくなる。 歩いていて、偶然目にする波立つ水の妖しさ。木の枝影が揺れ、風の動きとともに無数の光が見え隠れする川面。上から直接吹きつける風と、橋と両側の高い土手から返ってくる風が、複雑な波模様を作り出していく。遠い宇宙の、一瞬の写し絵のようにも見える波紋。そして、風が弱まるにつれて、星たちの影は遠のき、あとに残るは泥と水草だけの世界。 橋の袂に佇み、ファインダーを覗きながらシャッターチャンスを待つ。 カメラのレンズ群、鏡、一瞬光を限るシャッター、そしてぼくの眼球が一体になる。フィルムと網膜に向けて、彼方から同時に光の貌がとびこんでくる。 現像されたフィルムをスキャナーで読み込むときは、胸がどきどきする。思いがけなかった世界が一枚でも写っていれば、何か発見したような喜びがある。 今日のフィルムにも、そんな一枚があった。 水平、垂直反転した4枚のイメージを重ね、それぞれの濃度を調整していくと、不思議な文様が浮かび上がってきたのである。さらに彩度をおとし、部分的にコントラストを強くしていくと、上に掲載したイメージの様になった。二つ以上のパターンが重なり合うと、第三のパターン、より複雑なパターンを生じることにあらためて気付き、新鮮な驚きを覚えた。 知人はペルシャ絨毯みたいだと言ったが、ぼくの眼にも何かの神殿の様に映った。でも、どうして神殿なのだろう。 |