新・荻窪便り No.8
都美術館で、CINDY SHERMAN展を見てきた。やはり、写真集とは違う。全く違う。二十年という時間の、九十枚の切り口。そこから滲み出てくるものを、しずかに舐めるようにして、歩いた。心地よかった。友人の、「どうだ、おまえのミュウズの女神は」という声に対しても、ただ軽く頷くことができただけであった。
「一縷のかすかな光が、乳首に差しているのか、あるいは、乳首から放たれているのか分かりませんが、濃い液がたれていましたね。見ましたか」?と言うと、彼はあわてて引き返し、戻ってくると、「さすが、おっぱい聖人」と笑った。
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