新・荻窪便り No.6



1985頃のフィルムから



★ 今年の2月に書かれ、投函されなかった手紙

 芝居の案内状を送っていただいてありがとう。お二人とも、やってますね、というのがとても嬉しい。なんとか行きたいのですが、不安もあるのです。
 ぼくの病気については大山氏から聞いていますか?
 昨年の5月に秩父で会った時も、かなり体調は悪かった。ぼくの愚かなところは、すぐ医者に診て貰わないこと。7月のはじめに救急車のお世話になってしまい、危うく命綱の切れた宇宙飛行士になるところでした。無くなっていく意識の闇に浮かぶ青い地球。そのゆっくりとした回転に合わせていろいろな言葉が、脈絡もなく、剥がれおちていくのです。あっ、死の入り口か?しょうがねえな、これで最後とは........てな具合。
 病名は肺炎による呼吸不全。
 日は息と言います。細くながく生きるためにはどうするか、いまは試行錯誤の毎日。遅かれ早かれ誰もが経験することですから、今を楽しく過ごそうと努めています。先月の20日付けで会社は辞めました。しかし、まだまだ人間すてたものではありませんね。短時間ではありますが、オチンチンも使用可能だし、ちいさな明かりもなにかを照らす力になるかも知れない。まあ、暫くぼんやりするつもりです。
 おふたりともお元気で。いい芝居つくってください。


 H & Y 様


                まだ春の見えない荻窪にて 柊



 今年になって、もう3、4回公演しており、そのたびに丁寧に案内状を送ってくれる。
 ありがとう。



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