北の大地に生きるものたちの、たくましさに圧倒されている。
冷たい風雨を避けるような病棟での3週間は、洞窟の休息の時間に似ていた。
長い廊下を行ったり来たりするたびに、草木は眩しく姿を変えていった。
風は地を這うものを波立たせ、丘が大きくうねりながら後につづく。
なぜ、ぼくは丘陵がすきなのだろう。
八甲田山と岩木山の間に、浮かぶように佇みながらふと考える。
透明な扉の隙間から、風が入り込んでくる。
目の前で、黄色い花明かりが揺れている。
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