この写真の6、7年後に、ぼくが生まれたのではないだろうか。 祖父は晩年の記憶とほとんど変わらないが、こんな若い祖母は初めて目た。 この写真を、どうして下の弟が持っていたのだろうか。 半世紀以上を経て、今のぼくよりも若い祖父たちの時間が、一瞬何処かで閃き、 ふたりの体温が幼少の記憶から甦ってきた。 両親の温もりではなくて、裸で眠る祖父母の眠る暗闇である。 この写真を眺めていると、さらに不思議な感覚を覚えてしまう。 ここに見える時間は、単なる過去ではなく、ぼく自身の未来をも覗かせているようだ。 拡大プリントし、祖母の部屋に持って行くと、銀色の髪と丸い目が輝いていた。 |