、はじめに

 私は小さい頃から納豆を自分の手で作りたいと心のどこかで考えながら現在に至った。その後、先輩のホームページを参考にして「ペットボトルに温水を入れそれを抱かせて納豆を発酵させる『湯たんぽ方式』」で何回か試作してみた。その後、ふとしたことから大型の恒温機を自作している先輩のHPに入ることが出来、その方からのご指導で手作り発酵機の製作にこぎ着けることが出来た。 現在は「納豆」「ヨーグルト」「自ビール」「」等の発酵機として毎日のように稼働している。

2、恒温機の概要




 
原理としては、コンセントに差し込めばいつまでも加熱し続ける発熱体(電熱器)を、所定の温度になると「切断&接続」して一定の温度を保つ「サーモスタット(電子サーモ)」を「発熱体」と「電源」の間にはさむという考え方である。

 なお、温度調整器には「電子サーモ&コンセント&AC電源プラグ」が一体になった農電電子サーモ等の完成品と、各パーツを自分で結線する2つのパターンがある。このホームページでは、後者を選択している。




私の使用例

 1、
「加熱制御回路+電熱器」の組合せ。
  
○納豆・ヨーグルト・米麹等の発酵。○野菜種子の芽出し。

 2、「加熱制御回路電熱器
冷却制御回路冷蔵庫」の組合せ。
  
○激しい発酵熱を発する米麹・醤油麹製作時、最初は加熱回路で発酵促進、発酵熱を発し始めたら冷却回路に切り換え適切な温度を保持。

 3、「冷却制御回路
換気扇
 
 ○初夏から真夏にかけて温室の苗焼け防止




3、電子サーモについて 

 
以前は二つの金属を貼り合わせたバイメタルが主流であったが、現在はセンサーからの温度情報を基にコンピューターでヒーター等をオンオフする「電子サーモ」の時代になった。 

(1)私が最初に使用した電子サーモ「オムロンのE5L−BX1」  2010/03 生産終了



(電子サーモ&専用ソケットで価格12,700円、これにコンセント&プラグ&コード&送料を含めると15,000円程度になる。購入してから20年近くになるが、まだ現役で活躍している。結線は結構複雑であった。


(2)E5L−BX1の生産終了後、代替品で作成した温度調整器

 
@E5LーA・E5L−C」
  
前者はアナログサーモ(6,400円)、後者はデジタルサーモ(8,800円)。どちらもパワーリレー(G7J)を回路に組み込んでいる。
  ※使い勝手はアナログサーモが勝るが、容器内気温の測定が出来ないため、別に温度計を準備する必要があり、少し値段が張っても
   デジタルサーモがお薦めである。




 AE5LD
  
この機種は 10,100円と高価であるが、お値段相応の高級感の漂うデジタルサーモである。気になるのは3Aしか流せないため、必然的にパ   ワーリレーが必要になる。下の写真は LY2(抵抗負荷15A・誘導負荷10A)を組み込んでいる。




B私が虜になってしまった中国製「デジタルサーモ」
 
 
何年か前、私が愛用してきた国産品より0が一つ少ない価格で販売されていた超安価な電子サーモを見つけた。最初は「こんなもの!」と小馬鹿にしていたが、安価の誘惑に負け「消耗品」と自分に言い聞かせて購入した。予想に反し、数年経過してもまだ現役で活躍している。

・最初に購入した「SF-803:2,980円」「加熱&冷却」の切り替えを@AB端子の結線で制御するので、私は三路スイッチで切り替えるようにした。

・なお、写真のようにデジタル&バックライト液晶なので暗闇でも容器内の気温をチェックできる。


 


・次に購入した「MH1210W:1,529円」は「加熱&冷却」を決める端子は@とAの2つのみだが、デジタル画面で切り換え出来るように改良されており、三路スイッチは不要になった。このお値段だと温度計として使用しても決して高くはない。

 



・最近、購入した「STC-1000:1,199円」である。特徴は加熱&冷却用に各々2つの端子を設けている。そのため、私は「SF-803」と同様、三路スイッチで切り替える方式をとった。

・ただ、総じて、中国製電子サーモは極端に端子穴が狭く、ケーブルは1本しか入らない。そのため、各端子に1本だけ線(Fケーブル)を差し込み、そこから立ち上げたケーブルをスリーブコネクタで連結する「電気工事」方式を取った。
 結果、下の写真のように野暮ったいけど、作業はすごく楽になった。これをジョイントボックスに収納すると若干見やすくなるかも




もし、この結線で良ければ、希望者に「実費+送料=3,000〜5,000円程度?」で作って差し上げます。


最後になるが、


1、
加熱装置に使用する場合は、原則、ニクロム線等の「抵抗負荷」になるため、定格値と同様の対応で良い。

2、しかし、冷却装置に使用する場合は、コンプレッサーのモーターが、導線を巻いたコイルによる「誘導負荷」形式のため、電気を接続&
  切断した瞬間に定格の6〜10倍以上の突入電流(始動電流等)が生じて、ポイントを熔解する可能性が大になる。

  
そのため、例えば冷却器の定格が3Aの場合は、最低でも「3A*6倍=18A」以上で対応しないといけない。一般的な電子サーモは
  10A対応なので、誘導負荷値が2A以上の場合はパワーリレーを回路に組み込むこむ必要がある。



手作りの恒温器(温度調整器)