館岡栗山(りつざん。明治30年9月9日〜昭和53年10月16日)

日本画。本名豊治。南秋田郡五城目町高崎生まれ。秋田師範を肋膜炎のため一年で中退。のち京都で絵を修業し、大正十四年一月から四十八回にわたって、秋田魁新報に「秋田百景」を連載している。昭和三年近藤浩一路に師事、八年「台温泉」で院展初入選。以降安田靫彦(ゆきひこ)に就き、十二年春の日本美術院研究会展で「雨後」が横山大観賞、十四年院友に推された。二十四年四月、八郎潟町一日市大道一に疎開して永住地とし、院展を中心に制作活動し、あわせて県内日本画壇の主導的地位にあって、県展や三十一二年の新樹会結成に努め、本県美術界の向上を図った。三十七年県文化功労章、院展特待。
盆踊り、ナマハゲ、八郎潟風景、郷土芸能などを好んで題材にした。地方色豊かなマニエリスム風の微細な描写は、農村のたくましくも微笑ましいエネルギーを吹き出す独自な画風であり、記録画としても今後高く評価されていくことだろう。
二十六年二月十一日に「湖畔時報」を創刊、大正期に俳誌「山彦」主宰、また夫人欣代(きんよ。明治45年3月30日〜平成11年2月4日。北海道広尾郡大樹町出身、東北大医学部付属看護学院卒)と共に歌瀬(うたせ)歌会を結成するなど、文化活動にも著しいものがある。三十二年三月、自邸に筆塚を建て、五十年十一月二十七日には秋田市金足の県立博物館近く(金足農実習田傍)に「稲の花青より出でし青の穂に」の句碑も設けられた。この句碑はその後、五城目町の雀館公園内に移された。著書に『銀婚』(絵と短歌、昭和46年、私家版)『栗山画談』(55年10月16日、文化出版社)がある。息豊和は秋田魁新報社勤務、豊照は多摩美術大卒の日本画家である