田代平 牧場の1日
 田代冬季分校のある田代平地区は,夏は「やませ」と呼ばれる太平洋側からの冷たい東風の影響を受けやすく,冬は11月から4月までの約半年間。年間平均気温が7℃前後の高冷地です。加えて,年間を通じて風が強く,地区には風力発電の風車が9基設置されています。このような厳しい気象条件に加え,火山性の土壌により,作物の育ちにくい土地で,昭和初期から入植が始まったそうですが,当初は大変厳しい生活を強いられたそうです。
 しかしながら,そのような逆境をはね除け,今日に至るまで開拓の歴史を積み重ねてきた酪農地域,田代平。ここに住む人々(児童)が,どのような仕事をしているのか,どのような思いをもっているのか,等を学ぶべく,この日は家庭訪問も兼ねて,田代平にある牧場で,一日牧場実習を行ってきました。朝5:30〜夜21:00。子ども達の家での様子はもちろんのこと,酪農にかける熱い思い,家族みんなで夢に向かい汗を流す姿…などたくさんのことを学んできました。
 この日の体験実習を快く引き受けてくださったのは,「佐藤牧場」さん。昭和22年より,この地に入植し,以来3代にわたって開拓と酪農の歴史を積み重ねてきた牧場です。佐藤牧場さんは,今年度行われた「第36回全国酪農発表大会」「経営発表の部」で見事,最優秀賞の農林水産大臣賞に輝いた牧場でもあります。

 「牧場の朝は早い」とは,聞いていましたが,この日は早朝5:30から仕事の開始となりました。朝ご飯前の仕事が,早速待っていました。
 まず,取りかかったのが,牛舎の掃除。「牛舎は常に清潔に」ということで,糞尿を掃除し,敷草を取り替えます。
 私は,子牛達のいる育成舎の掃除をまず担当しました。「掃除」と一口で言うものの,スコップを使っての重労働でした。汚れた草などを一輪車に乗せ,何度も運搬で往復します。
6:40終了。
 育成舎の次は,経産牛たちのいる牛舎の掃除。前掛けをつけ,竹ぼうきで,ロストルという牛のウンチが落ちる部分を掃除していきます。牛のしっぽや,突然のオシッコなどに気を付けながら,どんどん掃いていきます。これも簡単そうに見えて,なかなかの重労働。汗がどんどん流れ落ちてきました(^_^;)。7:40終了。
 掃除が終わって,いよいよ搾乳!やはり牧場仕事の一番の喜びは,この瞬間なのだなぁ,と感じました。手で前搾りをして,搾乳機を取り付けます。機械でも悪戦苦闘していた私でしたが,「昔は,これを全部手でやったんだよ。」と聞き,その大変さを知らされました。
 搾乳しているときの牛は,なんだか気持ちよさそうな面持ちでした。8:30終了。
 全部の搾乳が終わる頃,タンクローリーがやって来ます。昨晩の分と今朝の分。合計約1,400リットルを出荷します。みんな笑顔,とても嬉しそうなひとときでした(^-^)。8:50終了。
 搾乳が終わると,牛さん達も,ほっとひと息。みんなごろりと横になっていました。(^-^)
 お母さん牛達がひと息ついている頃,子牛にミルクをあげます。子牛とはいっても,その飲みっぷりはたいしたもの。ぐいぐいと吸い付いて,ほ乳瓶をしっかりと持っていないと,取り上げられそうになります。
 朝,最後の仕事として,干草を与えます。すでにお父さんが数種類の飼料を与えていましたが,やはり干草は大好物らしく,どの牛も喜んで食べていました。
 そして,ここで4代目の跡取りが登場。毎日お父さん,お母さん達の仕事ぶりを見ているためでしょう,4歳にして,ほとんどの仕事について知っていました。私にも「干草についたカビは,食べさせちゃいけないんだよぉ。」としっかりアドバイスしてくれました。(^_^;)9:40終了。
 大型トラクターで,干草ロールの運搬も体験しました。何百キロもあるロールを運ぶだけに,トラクターもピック!数センチ単位で動かすお父さんのテクニックには脱帽でした。10:00終了
 
 ここまでが朝の仕事です。「朝飯前の仕事」などと言いますが,牧場の仕事は,とてもその言葉が当てはまらないくらい大変なものでした(お父さん達は,より多くの仕事をこなしていました)。この後,朝食となるのですが,当然,生活のリズムも他の家庭とは違うわけです。自分で体験してみて,初めて知ることばかりでした。
 朝食(10:30)をみんなさんと一緒にいただきましたが,搾りたての牛乳とヨーグルトは,格別の味でした。