00/05/01 去年の夏 弟の退院が決まった 精神に障害を持ち 長期の在院生活を送っていた彼が どのように地域社会で暮らしていくのか 病院側と、私達との話し合いが続いた 私達とは、わたしと、父母、そして、弟だ 数ヶ月間 東京と郷里との往復がつづいた 歳をとる、ということは 案外、人を理解することを助けるものだ 退院後の彼を拒絶していた父母も 毎週、そろって学習会に参加し 晩秋には、彼を受け入れるようになっていた
00/05/03 一人のソーシャルワーカーから 家族の会、パソコンボランティアへと 人の輪がひろがり 荻窪に戻ってから その輪はさらに大きくなった 郷里と荻窪との往復が 思いがけなくも あらたな交流を生むきっかけになった そして 家族の会のN氏から 『帰って来いよ』 『帰って来て、手伝ってくれよ』 という声が たびたび聞こえてくるようになった