第36回 (平成16年)十和田地区合同厄祓式 主催者あいさつ



 たいへんお寒い中,また足元の悪い中,十和田地区合同厄祓式に多数ご参加いただきまして,誠にありがとうございました。本日,私,八幡平地区の33歳の祈願祭に恩師として出席してきたため,皆様のお迎えをすることができず,深くお詫び申し上げます。

 本日は,公務ご多忙中にもかかわらず,鹿角市長 佐藤洋輔様,鹿角市市議会議長 阿部佐太郎様のご臨席を賜りましたこと,実行委員会を代表いたしまして心から深く感謝申し上げます。私たちのふるさと十和田地区において42歳・33歳の合同厄祓式が古くからの伝統にしたがい,ここに開催できましたことは,田村館長様をはじめとする十和田公民館の職員の皆様のご支援があったからこそと思っております。本当にありがとうございました。

 さて,古来人間には男女を問わず,いくつかの厄年があり,比較的大きな厄年にあたる男性42歳,そして女性33歳が様々な災いを免れるため,健康で幸せな人生になるようにと祈願をいたしております。私たちにとって,本日がその祈願の日となり,津島神官様のお祓いにより,参加者全員が心新たにより豊かな生活を希求する好機を授かったような気がいたしております。  
先人の教えは根拠なく存在することは決してなく,人間にほぼ共通して男性42歳・女性33歳は,生理的にも社会的にも人生の一つの転機にあたり身を慎まなければならない歳であることが人生の教訓となって,後世に伝えられてきているのではないかと思います。
よく世間では,四十二歳を「死ぬ」へつながる「死に」と語呂を合わせたり,三十三歳を「散々な」年という意味を持たせたりして厄難の歳であることを象徴して表現しています。それゆえ,厄年にあたる年は,ことのほか慎重にならなければならないということになります。

先日,中学3年になる娘が高校受験の受験票を手に,嘆いておりました。受験番号がよくないというのです。その受験番号は79番。「受験に失敗して泣く」という意味だというのです。人は不安な状況,よくないことがおこりそうだというおどおどした状況にあるとき,周囲のあらゆることが自分にとって不利益なことに思えてしまうことが多々あります。私の娘もその例に漏れず,心の不安がマイナス思考になっているのです。

私の厄年観は,人生には3つの坂があり,三つ目の坂が厄年に一番高い可能性でやってくるというものです。一つは人生の上り坂,反対は人生の下り坂。この二つの坂はすぐに想像できると思います。これまで生きてきて,幸せを感じる瞬間,生きてきてよかったという上り坂を皆様も経験なさってきたことと思います。また逆に,挫折や失望,なにをやってもうまくいかない状況,いわゆる下り坂を程度の差はあってもほとんどの方が経験なさっているのではないかと思います。さて,三つ目の坂はなんだと思いますか。それは「まさか」という坂です。どんなにまじめに生きていても,どんなに幸せであっても,どんなに努力していても,予期できない不運が突然やってくるものです。この予期できない不運にあたれば厄年なんだなと思ったりするのではないでしょうか。
だからこそ,その不運がおとずれる可能性を少なくしたり,なくしたり,逃れるために,今こうして厄祓をしていただいたと思うのです。ともに祈願した私たち一人一人の心の中に,きっと緊張しながらも心地よい安心感と安堵の中にもさわやかなきりっとした緊張感が今日のお祓いによって生まれたように思います。

42歳と言えば,家庭や職場,社会で中心的な地位が確立し,各方面で頼りにされる魅力的な大人として活躍する年齢だと思います。仕事の上でも重要な決定権を持ち始めたり,熟練された技術を身に付け,後輩に伝授するという立場になってきているのではないでしょうか。
33歳と言えば,社会の中堅層の仲間に入り,これまでのメンバーシップの関係から後輩の手本となるべきリーダーシップを発揮していく年齢だと思います。家庭においてもお子さんがいらっしゃる方は,母として今が一番子どもに密着しなければならず,子育てにお忙しい時期ではないでしょうか。

 家庭でも職場でも,そして社会においても,男性42歳,女性33歳は大きな役割を果たしているということをお互いに自覚しなければなりません。本日の厄祓式を機会に,これまでの人生を振り返り,今一度,自分という存在と役割を再確認するのもよいかと思います。  

私は,私も含め,ここにご出席のほとんどの皆様の母校,鹿角市立十和田中学校で英語の教師をしております。教師になった20代,生徒たちの注目を浴びたくてただがむしゃらにがんばっていました。ある意味,生徒の人気稼ぎでした。30代,生徒の夢や希望を叶えてあげよう,そして生徒が自分の弱さに負けそうになったら,厳しくも励ましてあげようという使命感をもって生徒に接していました。目指していたのは信頼される教師です。そして今,40代に突入してしまいました。今,私は20代に求めていた人気のある教師,30代に目指していた信頼される教師からの脱皮を図り,40代の年齢層にふさわしい教師,生徒から尊敬される教師になろうという目標を打ち立てています。
私たちはお互い,家庭環境,生活環境,仕事などおかれている状況がそれぞれ異なります。しかし,よりよく生きるという目標をもつことは共通しており,本日の十和田地区合同厄祓式をともに経験したものとして自分自身の向上ため,頼りとなる家族のため,何でも相談できる友人のため,そしてふるさと鹿角の発展のために最善を尽くすことをここに誓い合いたいと思います。

 人生の節目にあたる42歳と33歳,人生80年という捉え方をすれば,世間,一般社会においては,まだまだ未熟者としてしか見られない年齢なのかもしれません。たとえそうであっても,これから心新たに夢と希望をもってその実現のためにこつこつと努力していきたいものです。もし第3の坂,「まさか」に遭遇したとしても,生きるられるだけで丸,健康だったら二重丸,人様のために働けたら花丸だという謙虚な気持ちをもってどんな困難をも乗り切っていきたいと思います。
 人間関係や仕事でうまくいかないとき,他人をせめる前に自分を反省することで,困難な状況を克服することができることがあります。私は自分の心へよく次のように呼びかけています。
「おいあくま」と。それは自分の心の中にあるあくまへの呼びかけです。「おいあくま」の「お」はおこるな。「い」はいばるな。「あ」はあせるな。「く」はくさるな。「ま」はまけるな。ということです。厄祓を行うにあたって,ふと私の心に浮かんできた言葉です。

 本日の合同厄祓式を開催するにあたり,これまで3回にわたって42歳の男性実行委員並びに33歳の女性実行委員が準備をして参りました。年齢を越えた交流もまた私にとって貴重な経験であり,大きな財産となりました。改めて33歳の女性の皆様のご協力に対し感謝申し上げます。
最後になりますが,本日ご列席の皆様の末永いご健勝とご多幸をお祈り申し上げ,主催者のあいさつといたします。ありがとうございました。
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