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1 序章・両親の愛
2 今日で学校を辞めてくれ
3 (番外編)夜逃げ
4 悪夢の高校生活…
5 厳しき事これも愛なり?
6 (番外編)剣道少年団
7 2億6000万の借金
8 カウントダウン
9 心が落ちた
10家出・家族の愛
11倒産…新たなる「うつ」
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2003年秋。 このクリニックにきた。
白衣を着ていない福西先生の優しい真顔が、わたしを出迎えた。
「どうしました?」
経緯を話した後、先生はさらりと言った。
「うつ病ですね。手足を怪我するのと同じように、脳内物質の不調なので、治りますよ」
「それだけの経験をしたなら、うつにならないほうがおかしいし、自然な病気です」
「270キロのスピードの新幹線が、急ブレーキをかけたようなもの」
という例えもされた。
救われた気がした。
クリニックにたどり着くのに、『地べたを這ってきたようないやな感触』も消えた。
…来てよかった。
うつ病は、社会人失格者、再起不能…などという偏見も減っているという。
だから、抗うつ薬をのみ睡眠をとり、時間をかけて、
ひとつひとつまわりの問題を解決できるようにすることを、先生に教えられた。
自然界にも波があるように
こころにも大波、小波が寄せるし、どうしようもなく凹(へこむ)。
薬を飲んですぐに治るものではない。
なぜなら、そうなった『原因や現実』は消えないのだから。
うつ病になると、自己否定したくなる。
未来は真っ暗。
現在の自分はだめ人間。
過去の人生は何だったのか?
…と。
泥の中に手をつっこむように、『過去』をほじくりたくなる。
うつ病になる体験(自分ではスイッチが入るという表現が気に入っている)
にいたるまで、過去の『こころの多くの傷』が
癒されずにあったと、わたしは思っている。
■こころの擦り傷 その1
わたしは、田舎で小さな商いをしている6人家族の長男だった。
池田内閣の所得倍増計画がはじまった、高度成長期に生まれた。
しかし、商売をやっているところはみな金策で苦労していて、
わが家もそうだった。
父親は怖かった。
おこづかいをせがむと、
「こんな大変なときに…欲しければなんぼでももっていけー」
…と小銭を顔めがけて投げつけられた。3−4歳のころである。
妹とけんかして泣かせてしまうと、父は鬼の形相で走ってきて
わたしを本気で殴ったり、蹴ったりした。5−7歳のころである。
蔵に閉じこめられたり、木に吊るされたときもある。
そんなときには、普通の家庭だと母親がなだめるのだが、
母にも、包丁の刃のないほうの裏側で頭をたたかれたことがある。
自分が悪いんだから…、とわたしは泣きながらがまんしていた。
世の中の活気が、そんなこころを少しは癒していたのだろう。
水飴屋、紙芝居、ちんどん屋…街そのものが映画館だった。
でも、両親からの愛情を感じていなかったと思う。
(続く…)
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